2017年4月19日水曜日

グローバル社会と方言とアイデンティティ

雑な考えを雑に書き散らすので間違っていることもいっぱいあるかもしれないし後で書き直すかもしれないけどとりあえず今日のステイタスを書きなぐってみる。


ノルウェー語を学んでいて驚いたことの1つに、ノルウェー国内では方言がかなり守れていて、たとえ首都オスロに住んでいようと、若い人も各々出身地の方言をそのまま臆することなく使っていること。
社会全体の共通認識として「方言で話すことは大事なことだ」という認識というかほとんど潜在意識としてそう思っているし、そういうノルウェー社会であることに誇りをもっているのがノルウェー人でもある。
田舎だからとか都会だからとかで序列の意識もあまりないのがすごいところである。(いじり材料にはつかったりするがむしろフラットだからこそ堂々といじるという感じ)

ノルウェーもスウェーデンもデンマークも行ったり来たり入り乱れたりしながらいっしょくたな感じでやってきた長い歴史だが、しっかりノルウェーという独立した国になり、言語も似たりよったりしていたけれども特別に「ノルウェー語」を決めたりした近代の政策を見ても、言語の制定がノルウェーアイデンティティを作るために重要だからだったんだろうし国民が「ノルウェー国」のアイデンティティを持つのは統治に必要なあたりまえのことだろう。そしてアイデンティティを作る重要な要素はやはり言語だろう。
(ちなみにこないだスウェーデンでテロがあった時にノルウェーテレビ局のアナウンサーがスウェーデン人にインタビューしていたが、ノルウェー人アナウンサーはノルウェー語で質問しスウェーデン人はスウェーデン語で答えていた。ちなみにちなみにノルウェーテレビのアナウンサーはそれそれ自分の方言でそのままテレビでしゃべっているらしい。)

こんなにグダグダ言わなくても言語は強く自分のアイデンティティと関わるのは誰も疑わないことだと思うけどもたとえばイスラエル人などと話しているとヘブライ語について質問したらそれこそ目を輝かせてその歴史を説明してくれる。いったん死後となった古い聖書の言葉を近代になって復活させている。(言語は根性!)

10カ国も20カ国もの出自のクラスメイトたちが毎日毎日同じメンツで授業を受ける私のいるクラスで、自らをノルウェー社会にインテグレートしていくことと、出自に関してきちんと語れることの両輪が互いのレスペクト度合いに関係してくるような気も、実感として、する。

日本人は標準語を教育されるがそれは第二次世界大戦で全国から集められた兵隊さんたちが意思疎通できるようにするためと聞いたことがある。

戦争はもう終わっているから、今度は逆に、方言は守らないといけないものだという教育をしたほうがいいんじゃないかと思うんだがどうだろう。(ひょっとして最近の国語教育ではそういうこともやっているんだろうか?)ただしこのテーマは、自分自身もあまり考えてこなかったことだから、これからちゃんと勉強しなければいけない。しよう。

いろんなことがどんどん画一化されていって同じようなものばっかりになるとやはり「つまらない」。それだけで、方言を守っていく理由にはなると思う。

日本が自らを皮肉って使う現代語「ガラパゴス」。
小沢健二が「ガラパゴス」って素敵じゃないか、と言っていたと何かの記事で呼んで「バチン」と膝を打ってしまった。

ところで日本人の方言に対する意識は非常に歪んでいると思う。

地方出身者は東京で田舎者だと思われたくないので方言で話さない。
大阪出身で東京に住んでいる人は、大阪弁をプライドを持って使い続ける人と、東京出身者にいちいちいじられるのがめんどうで(想像)標準語的にしてしまう人といる。
たまに東京人で、関西弁を使い続ける東京在住の関西人に、「うざい」という感情を持つ人がいるが、そういう人はアイデンティティと言語についてどういう考えを持っているんだろうか。教養と深い思慮が足りないのでは(お前に言われたくないよ的な感じかもだけどさ)。

そんなこと言っておきながらもオスロに住んでいたって、日本人と話す時に、阿波弁でしゃべれていない私はいったい何なんだろうか。
最近は気をつけて努力しているんだがついついみんなが分かる言葉でしゃべってしまう。
阿波弁はちょい恥ずかしいなと思っている自分を否めないし、まず恥ずかしいと思う気持ちをどうやってぬぐいさることができるのかがわかっていない。下卑ている自分が二重に恥ずかしい。

私含め、この日本人の方言に対する歪んだ気持ちは、田舎と都会の序列が強く存在する日本ならではのメンタリティなんじゃないかと思う(ヨソの国にも同じようなことはあるだろうけども、ノルウェーにはないということが言いたい)。これは軽く人権問題でもあるような気がする。人権問題はときに不益をこうむっている当事者が無自覚であることが最大の敵かもしれない。日本社会の男女不平等についても同じことがいえると思う。

あとアイデンティティはやはり言語に非常に依拠していると思うので、大臣ポストができるほどに地方創生とかが大事だと言うなら、方言に関する認識の教育と、方言自体の教育は必須なんじゃないかとか思う。
もうそういう議論はとっくにあるんだろうかね。。

ちなみにUNESCOの消滅危機のある言語についてのアラートはこちら
http://www.unesco.org/languages-atlas/index.php?hl=en&page=atlasmap

こないだ宮城県登米市で地元のおっさんに話しかけられ、固有名詞以外1つも理解できなかったことに激しい衝撃を覚えつつも、この理解出来ない文化への愛おしさを強く感じた私はやはり歳をとったのかしらね。。

書きなぐってとりとめもないけども今日考えたことでした。
必読文献などご存じの方はぜひご教示ください!

2017年3月3日金曜日

日が「高く」なる

冬場はただただ暗くてべちゃべちゃと天気が悪く排気ガスによる大気汚染も北京ばりにひどくって本当にろくでもないこれが人の住むところか!と絶望的な気持ちになるオスロですが、最近ようやく日が長くなってきてというか「高く上がる」ようになってきてやっと人並な暮らしをしているような気がする今日このごろです・・・・ しかし季節問わずですがたまにノルウェー以外の国に行くと、かくも日は「高く上がる」ものなのかと驚きます・・・・
ところで先週日曜日は雪の後、非常に天気がよく、珍しく美しい日だったですね。

フィヨルドや湖は凍るんですなあ!北国っぽい!
生まれて初めて凍った湖の上を歩くという経験をした。 こんな写真をあげていると、みんなノルウェーは美しいきれいな素晴らしいところだと勘違いするのかもしれませんが、こういう感じは本当にまれで、いつもはドロドロでどんよりで薄暗いところなのですよ奥さん。

2016年9月18日日曜日

メドックの「ビール」

毎年恒例メドックマラソン。
もちろん走りに行くのではなく、飲みに行くのだ。
(いや、違った、仕事だった)



何度か旅行したシチリアのぶどうの産地とかでは、もっと雑に実がなっている印象だったけど、メドックのぶどうたちはいちいちビシッっとなっていて、ぶどうの時点ですでに近寄りがたい。
自分で手を出すものではなかろう・・・(この大会でタダ飲みして帰るものなのだ!)

ところでメドックのワインが美味しいのは当たり前の話なんだがというか私には全く語る能わずなんですが、私が毎年楽しみにしているのは実はビール!
メドックの近くにあるArcachonというところの地ビール「MIRA」が激旨なんですわよ、奥さん!
これ。
https://brasseriemira.fr/

ごくごく飲めるのに味わいがきっちりあり、味わいがきっちりあるのに、後味すっきりで何杯でも飲めてしまう!ワインで磨いた研ぎ澄まされた感性をビールに応用するとこうなるのか!という抜群のセンスで足し算も引き算も許さない完璧なビール!ビールだったらナンボでも語ったるで!

日本にはまだ入ってきていないと思いますが、メドックをご旅行されることがありましたらワインばっかり飲んでないで是非にお試しくださいませ。

2016年8月22日月曜日

本日ポルチーニ大漁



きのこ狩りシーズン本格化。

左上がポルチーニ。
その下少しピンクなのは「ピッグソップ」とノルウェーでは呼ばれているやつ。鶏肉のように歯ごたえと味わいがあって私はこの中では一番好き。
その下、2つだけみつけた黄色いのは「カンタレル」。これも北欧では非常に一般的なキノコ。
右側は「トラクトカンタレル」といって乾燥させると強い風味をおびるので、ピザとかパスタのアクセントによいやつ。いっかい味噌汁にいれてみたら強烈過ぎてもう何のことだかッて感じになってしまったことがある。

生ポルチーニは、日本ではほとんど手に入らないものだと思うけども、生はすごく味もマイルドで、あまり出汁も出ないのでおもしろくないっちゃおもしろくない味をしているので、今回はためしに乾燥させてみようと思う。

ポルチーニをスライスしたところ。

2016年8月19日金曜日

ノルウェー人的やせ我慢






この国の人は、よく湖で泳ぐんですね。そんな写真が上の2つです。
どういう成り立ちでそうなっているのか、スカンジナビアはどこもぐしゃぐしゃに湖だらけ池だらけなんですよ。
機上から眺めるとものすごくよくわかります。
いやGoogleMapで見ていただければ十分わかると思います。
フィンランド南部とかもう絶望的にぐしゃぐしゃ

いや湖だけでなくもちろん海(フィヨルド)でもよく泳ぐんだけども。

それで、太陽に対する渇望度が半端ない人たちなので、少しでも日ざしが出ると寸暇を惜しんで陽にあたろうとしますね。
これはよく言われる話だし、一度こちらの最低最悪な冬を経験するとその気持は心から理解できます。

んで、1つ不思議なのは、ノルウェー人というのは、「陽にあたりたい」だけでなく、とにかく、「泳ぎたい人たち」なんですよね。先に言ったように。
毎日の天気予報に、天気や気温、湿度、風、などの基本情報の他に、たとえば今の日本なら、紫外線指数や熱中症指数なるものがあって、わりと参考にされているのかもしれません。

さてノルウェーの天気予報で、天気や気温以外に、皆がゼッタイ注目しているのが、「水温」なんですね。
どこそこのビーチは水温何度、どこそこの池は水温何度、とバッチリ出て、これが日常会話の話題にのぼります。
何度だからちょっと冷たいんじゃない?とか、何度だから大丈夫だね!とか。
水温が共通話題でってすげえなと思うわけですよ。
私も石垣島時代は冬でもちょいちょい泳いでいましたがそんな話をノルウェー人にすると、「水温何度?」とか真顔で聞かれるんですよ。知らねーっつうの。


それで、日本人からしたら「さぶいやろソレ!」という日でも、太陽さえ出ていれば、喜々として泳ぎにでかけます。
また、もし水につかって、水が冷たかったとしても、「冷たい!」などとはゼッタイ言いません。
ノルウェー語で、「Frisk!」っていいます。
まぁ、フレッシュ!とか言う感じの意味合いなんでしょうか。ナンダソレ感満点ですw


「夏の日差しの中泳ぐ」というキラキラしたイメージへの強い憧れなんでしょうかね。
泳ぐことへの憧れは、やっぱり太陽への憧れと同じかな。
ご愁傷様なことです。あー今日は2つも書いたなー。寝る。

岩と野菜と酒



西海岸(といってもフィヨルドなので海岸も山ん中)へのドライブウェイ。
これがもうものすごい絶景なのは自分の中では消化済みなんだが。
岩でしょコレ。岩なんだよ、どこまで言っても岩また岩。

ところでそんな岩ノルウェーは農耕地が国土の3%ぐらいしかない。
 (日本も農耕地が少ないといわれているが、それでも15%ぐらいある。)
おまけにそのたった3%もあまり肥沃な土地ではなく、大部分が畜産、つまり牧草なんですね。
人の口にそのままいく農作物としては小麦や大麦などが少し。
土地が痩せているだけでなく、日照も弱いのでおいしい野菜はとれん。
スーパーに並んでいる野菜はほとんどが輸入物。

ノルウェー人は味オンチで、外食しても9割の打率で何食べてもマズいんですが、
私は、その理由は野菜がないことに原因があると見ている。
例えばフランスには、美味しい肉もあり、美味しい魚もあり、そして美味しい野菜もある。
日本やイタリアだってそう。
ノルウェーにだって魚と肉はなんとかあるんですが、野菜がない。
野菜のない国はどっかバランスを欠いちゃうんですよ、これは、きっと、たぶん。

いやそれで、コレはいつもの話なんですが、美味しい酒がある国は、食べ物も美味しいんですよ。これは、もう、ほぼ9割がた言えると思います。

そこへきて酒に関しても、ノルウェーは不毛。絶望的。いや絶望的は言い過ぎで、マイクロブリュワリーで秀逸なところは最近勃興している。
しかし社会通念として、根底に、ムスリム並に、酒への嫌悪がある。政策が煽っているんだが。
アクアビットの文化も、近年はすっかり廃れてしまっている。もったいないことである。


・・・・。日が陰り始めるととたんに愚痴っぽくなるな。
ノルウェー人味オンチ文化論をぶって、この国の食べ物が高くてマズい件についてウサを晴らす試みでした。

2016年5月9日月曜日

お知らせ

夏夏夏夏ココナーッツ。
さ、ノルウェーに夏がきましたよ。

   

あんまり仕事しないノルウェー人がますます仕事しなくなる夏がきたのですー!
(私は日本人なので仕事しますが)

2016年2月15日月曜日

人はいったいどれだけの孤独を天気のせいにして・・・モゴモゴ


苦しみの中でしかたどり着けないところがあるって思うのは気休めにすぎない

2015年12月23日水曜日

どん底で人は・・・


冬至のオスロ、正午、南中時間。
太陽の弱々しさときたら世紀末的美しさである。
とかいってせいいっぱいの強がりを言って生きていく人間の健気さを感じとってくださいw

ここから2ヶ月ぐらいが正念場ですが、ひたすら忍耐です。
天気の悪口をいう隙がないほど、都会的に忙しく慌ただしく過ごすのがポイントのようです。

はるばる日本から、最も暗い時をめざして遊びに来てくれた友人をグレーに湿ったオスロの街に案内。
日本酒だの味噌だの餅だのと、戦後の闇市帰りのようなみやげものの数々に、阿鼻叫喚


葉を落とした枝が細かく広がるシルエット好きの方、オフ会しましょう。

2015年8月16日日曜日

諦めるのはまだ早い生カシスソーダ

夏が終わろうとしていることを信じない、真実から目を背けている、自己欺瞞に満ちた、往生際の悪いオスロっ子を「アタシはあなた達とは違うわ」と上から目線で観察するディーズデイズですが(窓から隣の公園で寝そべっている人が見えるだけですが)、歩いていて道ばたにクロスグリ(カシス)がまだわっさりなっている木を見つけてしまった私は意志の弱い女です。

朝から生カシスソーダを飲んで今日こそ夏に別れを告げるの!ベースはプロセッコよ!



今日は日曜だけど朝からガブガブ飲んでガリガリ仕事するもんね!
と思ってほんとにガブガブ飲んでたらもう昼過ぎてた・・ヤバイ、仕事しよ。

2015年8月10日月曜日

青い諦念


もう夏は終わってしまったのか、いや夏なんてそもそも来ていたっけかという議論があちこちで活発に聞かれるオスロの今日この頃です。

どなたさまも黒い点々が見えるでしょうか?
これ全部ブルーベリー。もちろん自生。
オスロは街中から10分でこんな感じの森に突入してしまうので、ノルウェー人の精神性がちょっとメルヘンチックなのはもうやむを得ないのだなと。

しかしブルーベリー狩りに関しては、「ベリー摘み☆」ちゅうようなメルヘンチックな作業ではなく、この道具で容赦なくわっしわっしと狩り込んでいきます。
30分もやればバケツいっぱいになる。

みなこれを何十リットルという単位でとってきて、冷凍保存するそうだ。つまりこれは冬眠準備やね。
ああ寒くて暗い冬の始まり。
南無三。。。

2015年6月22日月曜日

恐れていた日


夏至のオスロ、深夜0時は室内全く灯をつけづにこれぐらいの明るさ。
明日からは、寒く冷たく湿って暗い冬に向かっていくだけというむごい事実。
南無三!

2015年5月28日木曜日

呪いのあと


1年半前の冬は毎日毎日飽きもせずに空に向かって呪いの言葉を吐いていたのだが、夏にこの地に来ると、ノルウェー人はそんな冬であっても、少しため息をつく程度にして耐えて過ごしている理由が、まぁまぁわかるのである。

このように美しい春・夏の訪れをもっても、大げさにはしゃいで喜んだりすることはあまりない彼等だが、それはやはりあまりに長く暗く冷たく湿った冬のトラウマをひきずっているに違いない。ちなみに私はひきずっているwあのときあまりに呪いすぎて今この美しさを素直に表現することに抵抗を感じている自分を感じますもんw

2015年2月1日日曜日

月は昇るし日は沈む


どういうわけか今、石垣島に住んでいるが、先日、ちょっとそこまで、のノリで日帰り予定で波照間島に足を伸ばしたらまんまと帰りの船が欠航して一晩波照間ですごすハメになった。
私は日本の田舎の暗闇が心底苦手なのだが、波照間くんだりまでくると夜はほんとにもう絶望的に真っ暗で、晩飯のために入った集落の居酒屋から民宿までのちゃりんこ道は、さとうきび畑がザワワするたび戦慄。
住んでる石垣島のほうでも風が強い。風がボーボーと吹きつける夜はなお怖い。雨なんか降っていたらいよいよに怖い。ふとんを頭からかぶって隠れていたい気分。雨風吹かない夜でも、今度は遠くリーフで砕ける波音が低くゴーーぉっと響いてくる。それがまた怖い。
唯一あまり怖くない夜は、雨上がりの夜だ。なんのカエルか知らないが、中音域のかなりの大音量で大騒ぎしている。そのカエルがないているときだけは魑魅魍魎が祓われているような安心感がある。

暗闇への恐怖心は年々ひどくなるばかりだが、同様に最近ひどいのが海への恐怖。あんなに世界中どこの海でもざぶんざぶん泳ぎまくっていたのに、どうもこのところ海に入るのが怖い。入るのが怖いだけでなく、世界各地で覗いてきた海の中の様子を「思い出すだけ」で恐怖で肝が縮こまる。

夜の暗さ、海のうねり、鳴りやむことのない波の音・・・ああおそろしや。

さとうきびを炊きあげる甘いかおりが漂う波照間の精糖工場。人間なんてほんとうにラララ。



2014年7月2日水曜日



別になんちゅうことはないが東京の巨大なケヤキの木が好きです。
両側からおいしげって高いところで見上げる空をふさいでしまうぐらいのはとてもヨイ。
冬になって葉が落ちて細かい枝が盛大に広がり空に繊細なシルエットを描いていたりするのもまたヨイ。

2014年5月19日月曜日

デスティネーションになにかあるわけではない



これはウユニの朝焼け。

ペルー、ボリビアあたりは、湿気と空気の薄さとルートの過酷さとで相当に疲れていた。 

過酷なルートを経ないと見れない(というか見えない)モノって言うのは確かにあって、私にとって一番最初の経験は20歳の時のチベット高原だと思うけど、目的地の、ラサといよりはとにかくその道程がすさまじかったので、着いてしまったらラサなんて正直、高野山とあんまりかわらんw、と興ざめするほど、とにかくチベット高原を突っ切っていく陸路の1,000kmは過酷だった。
 高度は低くて3,500m、高いところは5,500mくらいあって高山病で朦朧とした意識の中で見た、荒涼とした寒い大地のあっちのほうにそびえる崑崙山脈とその手前の巨大な虹は、人生の中で3本の指に入るヤバイ景色だったと思う。

 壮絶な景色っていうのは、キレイで感動!とかけっしてそういうウカレた感じじゃなくて、なんか自分の心の中の黒さを見るような死にたくなるようなもっとツライ感じよね。旅のなかで何回かそういう壮絶なものを見てしまったけど、そういうときの孤独がトラウマにもなり、病みつきにもなるのかもしれない。

2014年2月9日日曜日

暗闇



オスロの、ドラキュラ住んでそうな感じのなにやらgloomyな場所で、アルボペルトやらバッハやらやる小さいコンサートが開かれると。
しかもただのコンサートでなく、完全な暗闇の中でやるっつう。
それはおもしろそうだと思って、そんな場所にわざわざいくまでもなく全体的にgloomyなオスロの町をすごすごと出かけていく。
上は、開場を待っている受付付近での写真。



受付でチケットを買ったらすぐに中に入れるのかと思いきや、「完全な暗闇なので案内するまでここで待て」とな。へいへい。

・・・しばし待つ。
・・・開場準備が整ったようだ。
・・・来場者は4人セットの隊列をくめと。へいへい。
・・・前の人の肩に手をのせて。先頭は案内人。
・・・ドアを1枚くぐる。外の明かりが少し見える。
・・・2枚目のドアをくぐる。うわ、ほんまや完全な暗闇。
・・・そのまま席まで手探り案内で連れて行かれて、無事着席。

完全な暗闇。まぶたを閉じても開けても同じ暗闇。寸分妥協のない暗闇。


ほどなくしてふいに音が始まる。
なにかごそごそと音がして演奏者が入場してくるに違いないと思って待ちかまえていたけど、最初からそこにいたらしいw おったんかい!www 心の中で激しくつっこむ。
楽器はピアノ、バイオリン、チェロ。

・・・アルボペルトからはじまって、バッハ、その後なんか。。。
・・・ほどなくして睡魔。。。
・・・再度アルボペルト、その後またなんか。。。
・・・また睡魔。。。


一通り、演奏が終わったようだ。本当に、最初から最後まで(てか途中で寝たけどそれも含め)、目が痛くなるほどの完全な暗闇の中で。



・・・マッチをする音。
・・・ろうそくが一本灯る。
・・・突如初めて見る場内。プレイヤー。オーディエンス。
・・・拍手。うむ。


 


おもしろかったんだけど意外と疲れるのね。暗闇。寝過ぎたからかしら。
バイオリンとか真っ暗で弾けるもんなんだねしかし。ピアノはなんかできそうな感じするけど。(しかし高音部でミスタッチがあってウケた。もっと練習せいや!)
これオーケストラでやっちゃうとどうなるんだろう。。。可能なんだろうか。。
コーラスつきのなんか、とかおもしろいんじゃないかなあ。。。
しかしそうはいっても、アイコンタクトとかで息をあわせたりもしてるんだろうから、大変だろうね、真っ暗だと。

冷たい雨の中を帰途へ。
アルボペルトはつくづく雨が似合うな。。

2014年1月31日金曜日

八代亜紀

急に八代亜紀かよw
このところ八代亜紀が勝手に脳内再生するので、なにごとかと思いながらYoutubeで「舟歌」なぞ確認していたのだけどいやしかし八代亜紀かっけーな。
しかしこのムービーと、


このムービーで、



まるで別人のようにお色気度が違うのはなんなんでしょうかいったい。
前者の方が迫力があって、ドスが効いていて私は好きだが、後者のお色気っぷりも捨てがたいッちゃ捨てがたいが歌の響きが若干つまらん気はするね。
演歌はいかにも不幸そうな感じで歌わなくっちゃいけない。
女子っぽく解説すると、前者は仕事が楽しくてしょうがない仕事人間モード、後者は恋愛が楽しくてしょうがないプライベート超充実モード、という感じか。なかなかにわかりやすい。ご本人からするとほっといてくれってかんじでしょうが。


ついでに、「釜山港へ帰れ」も目にとまってしまったのだけどこれまたかっちょえー。やべー。


肩が小刻みに振れるのがいかにもレガシーでゾクゾクします。


それでどうしてこうも八代亜紀が脳内再生するのかと思いめぐらせてみるにおそらくオスロ港の景色がいつもそんな感じだからだだろうということに気づいた↓

Lookout オスロ — Oslo Havn - Raadhuskaia (ja)

2014年1月24日金曜日

平泳ぎとカビ色のタイルと私




 寒いし雪ふっとるし出かける用事もないので毎日家にこもってばかりいて、デスクに座りっぱなし、しかも一日100歩くらいしか歩かない日もざらにあって、さすがにこれはヤバイだろうと思ってプールに通い始めた。 

少しして、漫然と泳いでいるのも芸がないと思って、まずは平泳ぎから極めようと思いたち、YouTubeでフォームの研究をしてから練習(もはや練習と呼んでいる)に臨んだら、ものすごい集中力で泳ぎこんでしまうはいいが、身体中の関節やら筋肉やらがやたら痛い。
漫然と泳いでいたときには特に何も感じなかったので、やはりあれはただ浮かんでいただけだったんだろう。
Youtubeで平泳ぎレッスン的なものをいくつも見て思うのは、ありゃあ背筋だな。
私ったら背筋なぞまったく持ち合わせていないのだが、北島康介(理想高っ)の映像などみるに、劇的に背筋がうねっている。亡くなってしまったオーエン選手に至っては鯨みたいにヌバガぁ~~っと背中全体が水面にあがってきて華麗にまた深海へダ~~イブッて感じ。
私といえば自分で泳いでてわかるけどぴょこぴょこしてる感じで例えていうなら有明海のムツゴロウ、っていうか?
まいいや、そのうちなんとかなるだろう。

 ところで平泳ぎの話がしたかったワケじゃないんだ。 じゃなんだっていうと、プールの入ってるこのジムの建物のことなワケよ。奥さん。
このビルの、全体的にカビみたいな色遣いのタイルのなんとも薄暗い灰色の雪の町に似合うことよ。 これ夏の青空の下で見るとマズいだろうなあ。。いやマズいよ青空は。
これオスロ大学のジムなのだが、オスロ大学キャンパスの辺境になにげなくぬぼっと現れるのだが、そのなんのドラマもなくぬぼっと現れる、やらしい狙いのなさがまたよいわー。
ジムっぽくない外観なのもいいよなあ。。
しかも、とくに目立つビルではないので、なんか私だけが知ってしまった、みたいな?(いやみな知ってるんだが) 

まいいや、あのさぁ、ひとりで水泳の練習するときってタイムとかターン数とかってどうやって計測すればいいんだろう。

2014年1月6日月曜日

What a easy.



大きな大学病院のとなりは墓地なのである。
ここに来るたびに、この配置のあまりのセンスに笑ってしまって、一句詠みたくなるが、その才が全く不思議なまでにないのが残念。


いろはにほへどちりぬるを。。。

2013年9月23日月曜日

なんかWindowsの壁紙みたいだけど違うよ

こないだ、フランスのボルドーで開催されるメドックマラソンというのに出張ってきたのだがその時のぶどう畑の様子。

これはポイヤックという地域で、シャトームートンとかシャトーラトゥールとか、ワインにはとんとうとい私のような猿でも知ってそうな高そうな銘柄の産地なんだけど、まぁね、ボルドーワインのようなヘビーなやつはべつに私の好みではないわよ、とかいいながら、出されたもん毎日ひたすらがぶがぶ飲んでたわよ。もちろん、シャトームートンががぶがぶ飲めるワケじゃないけど。とにかく前日レジストレーション場付近のEXPO開場、前夜祭、マラソン当日、翌日のウォーキングイベントにいたって、さまざまな周辺シャトーのボルドーワインがあっちゃこっちゃでがぶがぶ飲める状態がひたすらに続くんですもの、こりゃ飲まんわけにいかんのですたぃ。 しかもメドックマラソンのプレジデントがそのへんのシャトーのオーナーで、ランチにお招きくださって、あまりの僥倖に全身で喜びを表している品のない日本人はこちらですね。

どっかでみたことある画だと思ったらコレだった。。。

こないだ、ふと、そこはかとない孤独感に襲われて、よし、これはチョコレートケーキでも食べておちつかねばと思い、すぐ家を出て、近所のラグジュアリーなホテルのカフェに駆け込んだらばそれは平日の夕方であったんだが、誰もいないわ、広大な緑濃い庭を独り占めだわでしめたものだと思ってふかふかのソファにどっさり腰を下ろしたところまではよかったのだが、ウェイトレスが告げるには、今日はチョコレートケーキは完売しましたとの絶望的悲報。しょうがないのでバニラアイスクリームとスコッチウィスキーをお願いして猛スピードでどちらもかっこんで、また自転車をかっとばして、怒濤のように寄せては返す夕方の買い物のおばちゃん達の荒波をかきわけて地元のケーキ屋へ。果たして無事にチョコレートケーキを発見し、しかもチョコレートケーキあれこれ4種類もお買い上げして、うちに帰ってそれら全てひと口ずつちょっとずつ食べくさして冷蔵庫にしまうという背徳感を伴う快感でもってその日の孤独を追いやることにようやく成功せしめた私なのであった。 今日はここでおしまい。(え、久しぶりになんか書きにきたと思ったらナンの話しにきたのこのひと、みたいな。)

2013年4月2日火曜日

4月!

あ、ええ、今日は皿うどんとかカレーうどんがお得ですわよ、奥さん。

2013年2月3日日曜日

久しぶりになんか書いたと思ったら猿の話なんですけど


長野のともだちがいて、スノーモンキー見に行こうぜってことになって、ローカル線とバスを乗り継いで山奥のどんづまりの温泉「地獄谷温泉」まで行ってきました。

最後は徒歩でしか行けない(山道を20分ほど歩くのだが)本当に山奥の温泉なのだけど、猿たち、あたしたちが見に行ったとき、そんな都合よく風呂入っててくれてるもんかしらぁ、と期待と不安をいりまじえながら、雪道をうんせうんせと歩いていくと、、、、


ばばーーん。


フツーに風呂はいっとるー!!いっぱいおるー!















そんなに気持ちいいかよって感じですが。
人間と同じような顔するなー、と思ってみていたけど、あっちはあっちでうわーなんか猿ようなんがいっぱいみにきとるわーと思ってこっち見てるんでしょうねえ。

ま、先に温泉という文化・習慣を確立した種族として全般的に言いたいことは、ちょっとあんたたち、ちゃんと首までつからないとあったまらないわよ、と。
あと浴槽内でおしっことかうんこはしたらあかんよ、と。

ちなみにすぐそばに人間用の温泉宿がありましたが、そこの露天風呂にも猿が1匹のんびりつかってて、たまたまその露天風呂にはいりにきたすっぽんぽんのお姉ちゃん二人組が、ぎゃー!猿がいるー!とか騒いでいつつ結局仲良く一緒にお湯に浸かっていたのが、山の向こう側、遠目に見えてしまいました。見えていいんでしょうか。。
でもちょっとおもしろかったです。
猿と一緒にお湯に浸かるってどんな気持ちなんだろう。。
コワ楽しいかんじ?


2012年11月15日木曜日

日本一



新幹線にのってちょいと遠出したらこんなパーフェクト富士にまみえる。 
ふむ。
あれこれ、すべて、有難いことだと思って日々くらしていかねばならない。はい。

2012年10月14日日曜日

神有月とて


「大社」という能を見に行った。大社、つまり出雲大社のお話。

10月は神無月ってゆーけど、それは日本中の八百万の神様が10月はみな出雲大社に行っていなくなってしまうっていう例の件で神無月ってゆーんだってことだけど、当の出雲大社のほうでは10月を神有月と呼ぶんだって。みんな来てるから。
お能の「大社」は端的に言うと、10月に出雲大社で神さんやらなんやかんやが集結してやいのやいの大賑わい、というはなしです。

今年は古事記ができて1300年の年だそう。その記念企画、ということらしいが、この曲はあまり上演されることはない曲だそうで、しかも国文学者の解説付きで、という国立能楽堂ならではの良企画。齋藤英喜先生という仏教大学の先生だったんだけど、専門はお能ではなく、あくまで古事記、日本の神話、宗教というところが国立能楽堂がちゃんと仕事してるのがわかって素晴らしいですね。

その齋藤先生の解説がとてもおもしろかったので、以下全部先生の受け売りですけどヒマな人は読んでください。ヒマじゃなくても気が向いたら読んでください。

古事記には、オオクニヌシ(日本の国造りの神様)がアマテラス(今の天皇はこっちの系譜)に敗れて国を譲る、という話がでてくるが、その際、敗れたオオクニヌシを祭るために建てられたのが出雲大社、なんだそうな。

破れた側を、手厚く奉る、というのは、日本には「御霊信仰」としてひんぱんにみられることらしく、例えばその一例が、菅原道真の太宰府天満宮なのだが(道真いうたら祟りですもんね)、その原型が出雲大社にみられるそう。

それが、どういうわけか、平安末期、鎌倉、室町、と戦乱の中世期の中で、いつのまにか出雲大社のご神体は、「スサノオノミコト」になっちゃってたんだって。
スサノオは、荒ぶる神として武家からの信仰を集めていたらしく、中世の武家の台頭でどうもいつのまにかそうなっちゃったんだって。

お能つーのはそのまっただ中の室町初期のころに形ができあがったんです。
他のほとんどの曲がそうであるように、この「大社」も室町のころにできたものだけど、つまり、できた当時は「大社」でも出雲大社のご神体は「スサノオ」ということになっていたらしい。なんと。

ところで古事記は、天武天皇の命で1300年前の712年に完成したあと、わりと読まれもしないでうっちゃられていたらしく、「あ、そういえば日本の歴史ってそういえばどないなっとったんだっけ」みたいな感じで古事記研究が進められるようになったのは、江戸中期以降なんだそうだ。
そういった流れで古事記研究者、本居宣長とかがでてくるわけらしいんだけど、その頃になってようやく「いやいや、出雲大社のご神体はスサノオじゃなくてオオクニヌシですから」ということがわかって、今は、お能の「大社」も出雲大社のご神体はオオクニヌシ、という体裁になっている、つーわけ(つまり江戸のどっかで訂正された)。

あと、大社にはほかにも「十羅刹女」とか「海龍王」とかいう仏教系の神様がわらわらでてきて舞を舞ったりしてそれがけっこう見せ場になっている。
そのへんの脈絡は私の理解力では不明。

つまり総じていうと「大社」のポイントは、このお能のなかに、日本の国造りの神はじめその他もろもろの神々、古事記という史書の誕生、武家の台頭、中世の動乱、仏教への憧れ、神仏集合、江戸期の国家のアイデンティティの追求、みたいなそんなかんなのエピソードがごっそり読み取れる、ということ。

お能はいつもそんなノリで古典に古典が塗り込まっているので、そういうところが難しく、でもとりくみがいがあっておもしろい。それでいて美しいのだからもうたいへん。

えとーー、ややこしいこと並べておきながらアレですが個人的には小鼓方の大倉源次郎先生の小鼓ていうのが素晴らしくてですね、実は昨日は源次郎先生だから見に行ったとも言えるんですけどね、この小鼓方大倉流の宗家たる源次郎先生てのがいじょーに男前で、たぶん今時のあらゆる能楽師のなかで抜きんでて男前なんだけど、そんなわけなので、どんだけ神様がくるくる舞を舞おうが何しようが、わたしは源次郎先生の冷たい横顔(よしながふみの漫画にでてきそうな)、神々しいかけ声(深い森の梟のような)、小鼓を受ける胸板の美しさ(ああ小鼓にジェラシー)、それさえあれば、もうそれだけで満足なのであります。


舞台がはねて外に出たら、千駄ヶ谷は一面の、まさに空前の規模の、すんげー鱗雲!いやー秋だねー。この鱗に載って八百万の神様がやいのやいのと出雲に渡ってってるような気がしてすごくお目出度いヤローな気持ちになりました。




以上ですー。

2012年10月8日月曜日

猫やい

近所の苫屋にいた老猫。








勝手に師匠と名付ける。

2012年9月30日日曜日

あるかなきかの



ブログを書くの忘れちまってるわけではないのだが、あまり書きたい気もおこらずほおっておいたらどんどん月日が過ぎて長かった残暑もとっくに終わってもうすっかり秋ですね奥さん。 とらやの栗粉餅がまた明日から(毎年十月一日)始まると思うと日本にいる喜びをひしひしと感じずにはおられません。

 最近また能楽堂に足を運ぶ頻度が増えてああおもしろいなあと一人耽っている。一人耽っているのをもったいないなあといつも思うのだがこの徹底的に日本の古典というか日本の古典を何重にも塗り込めたようなこの古典はちょっときちがいじみていてそれがいかにも日本らしい感じのきちがいぶりなんだけどそれをどうやって伝えたものでしょう。

私は最初はとくにその独特の音楽の世界にひかれてお能に興味をもつようになったのだけど、最近とみに気付かされているのは、そのことば、詞章にこそ、日本の風土、日本人の感情、美意識、という点で気の遠くなるような奥深い世界がひろがっているのだということであって、ああ途方もない世界をのぞいてしまったなと今頃ようやくきづいて、この頃はことばの理解にも勤めている。 お能のことを考えているとなんとなくこっちで間違っていなかったという気はしていて、それで不思議なことにさみしい気持ちがまぎれるからほんと不思議なものだ。 

最近読んだ、平野啓一郎という作家の「葬送」という、ショパンとドラクロワがでてくる荘厳な小説のなかに、ドラクロワが日記をつける、なぜ日記をつけるのかということをしのごの考えながら、というシーンが描かれているのだけど、あたしも日記でも書いてみようかしらね。自分の恥ずかしい部分や負の部分と面と向き合うふてぶてしさは近頃かなり鍛えられてきたような気がするんだよね。 

お能の話しをしようと思っていたのにちょっと考えがワキにそれたらもうはじめ何が言いたくて書き始めたのかわからなくなってきたのでこのへんで中途半端に終わろうと思いますけど、たぶん、古代の人々に思いを馳せて自分だけの特別の世界に逃げこもうとしている私と、現実のどさくさを日々生きている私の、その折り合いをつけようとしているまた違う私というのがどっかにいて、日曜の嵐の夜なんかはその3番目のがよくしゃしゃりでてくるんですってよ。


 明日の最高気温30度だって。南無三。。

2012年8月21日火曜日

仕事とは

たまらん本に出会っちった。
商売繁盛ー昨今職業づくし
 いろんな仕事人達のインタビュー集。


しかし、、1976年8月初版、とあるから、、実に36年前だ。。

しかも、でてくる仕事人達が、なんともいえない普通の人々。。 

今時の、プロジェクトXやら、仕事の流儀やら、カンブリア宮殿やら情熱大陸にでてくるような、華々しい活躍をする各業界人とかでなく、ほんとにそのへんにいる普通の人々。

 映画館の売店のおっさん、ちり紙交換のおっさん、池袋駅の改札駅員、剥製屋の主人、帽子屋の主人、おしぼり屋の奥さん、アドバルーン(!)屋の女主人、ホオズキ農家、家庭教師の早稲田大生のお兄ちゃん(!)、、、 
戦後はどうだった、とか、最近の時勢で商売はこう変化していて、とか、何がよく売れる、とか商売上の工夫とか、商売上の勘所のはなしとか、、、
なんでもない話なのにむやみにおもしろくて電車のなかでニヤニヤしてヤバイ人みたいになっちゃう系。

私が生まれたのは、1977年なので、彼等の話の時代の空気感も、少しはわかるのがまたいいんだろうな。ちり紙交換とかね。
仕事への愛、誇りに満ちているけど、肩に力が入っている感じは全くなくあくまで普通。
書いている方がそういう風に書こうとしているからに間違いないんだけど。

先に挙げたテレビ番組や、昨今はやりのビジネス書はこの本と比べるとほんと下品でいやらしい。(下品でいやらしいからおもしろいんだけどw)

しかしこの本にでてくる普通の人は、なんかみんな血が通ってる。
演出により無理クリ血を通わせている昨今のほにゃらら、とは違って、ありのままで血が通ってる。

商売あがったりでも順調でも、なんかイキイキ。愚痴すらイキイキ。
ぐいぐい経済が成長してる時ってのは、そんなもんなのかな。
まいいや、いうほどヤボだ。。

普通のいとおしさと、この頃の社会の気分、みたいなのがすごく出ている(と思われる)とってもいい本です。

著者の、三宅菊子という人は、ananの創刊メンバーであり、マガハのエルジャポン、クロワッサンの隆盛をささえたライター・編集者だそう。
この方が今月亡くなったそうで、それでなんかのついでで話題にあがって知ったんだけど。
白州正子や宇野千代とも親交があって、仕事仲間で、、とかそういうことらしいけどなんというか、、、時代だよね。。

2012年8月18日土曜日

D'ONT PANIC!

かつてはわりと日常的にどうでもいいような小ネタでちょいちょいブログを書いていたけど、この旅ブログは、旅にでるにあたってわりと真面目に写真とともにいろんな場所のおもしろい話をしようという思いでやってきたし、旅も終わっちゃったので、なかなか記事ができないんだが、一方どうでもいいことも書きたい欲求みたいなのはやはりあって、そのやり場に困っていたんだけど、もうこのブログでいいやってことにしようかと思って、いつでも気が向いたら書けるようにスマホに投稿用のアプリなんかもいれてみて、今それで書いてます。

なので今後はテーマ無しな感じになっていくと思います。

それで早速なんだけど、このダグラスアダムスの銀河ヒッチハイクガイドがキョーレツにおもろかったので大推薦します!SFつーかイギリスのコメディです。

ちなみに、この本についてはまずGoogleで、
「人生、宇宙、すべてのこたえ」
で検索するところから始めてください。

原書読んでないけど、読んでなくてもこれは訳がきっとうまいんだろうなぁ、というのがわかる。最後の、訳者あとがきも面白くて、いままで読んだ訳者あとがきのなかで一番愛すべき訳者あとがきだと思いました。




この本によると、人生、宇宙、すべてのこたえ、は42、なんだけど、著者のダグラスアダムスによると、全く意味のなさそうな数字を選んだ、とのこと、3、や7、だとちょっと意味ありげな数字に人はとらえるので、そうじゃないものを選んだそうだ。

私、4と2の数字のモチーフになっているイヤリングをもっているんだけど、深い意味はなくて単に形がかわいいからそうしていたんだけど、数字や記号に意味をみいだそうとせずにはおれないのが人間の性なのか、自分も単に形がかわいいだけでえらんだことに心のどこかで腑に落ちていなかったんだけど、この本のことを知ったときに、42とは、「人生、宇宙、すべてのこたえ」であり、しかも「意味がない」っていうオーソリティをガツンといただいて、はげしく感動したものです。(笑)

ちなみに、地球の歩き方とはちょっと違って、英語圏で利用されている Lonely Planet という超有名なトラベルガイドは、ライターの署名性が高いのが特徴で、登場人物に「ヒッチハイクガイド」を書いているライターというのが登場するのだが、その彼のスタンスとロンプラのライター達のスタンスがやはり同じで、なんかそういうところが個人的にはヒヒヒって感じでおもしろかったです。

そんなかんなで私にとってとてもパーソナルに愛すべき本になってしまった一冊。

話しのぶっとびかたが、どこか東村アキコ的なのも楽しめます。
すごい天才。ダグラスアダムス。絶賛オススメ。

2012年8月14日火曜日

ウユニ

南米のペルーやらボリビアあたりは、記憶がうつろ。
あの頃は空気が薄いからといういわけではないけど苦しかったなあ。
外界と自分との線引きとか、間の取り方がわからなかった。
(今でも分かってないけど) 
なんとなく心をどこかにおいてきたままのような感じで今、東京の生活に戻りつつあるけど、結局どこにいても、人は孤独だし、外の世界の認識はいつも相対的で一時的で場当たり的なものなんだろう。





空に消えていくバス。

2012年7月13日金曜日

旅ガジェ:ガーゼマスク


旅ガジェシリーズ。(続いた..)
第2弾は、こちら、ガーゼマスク。



使い捨てじゃなく、どこかなつかしガーゼマスクつーのは洗って何度も使えるからだよ。
用途は、病気の予防というわけではなくって、飛行機の中での鼻の乾燥の防止。
だからこれでよいんです。

私はドライノーズもちで、乾燥するとすごく鼻にきてもー鼻の奥がヒリヒリになってイテーのなんのって。。
飛行機つーのはなんであんなに乾燥するんだろうか?1時間くらいすぎるともー鼻から水をがぶ飲みしたいくらい鼻腔が砂漠化します。
ちなみにうっかりこのマスクを機内に持ち込み忘れた場合は、ティッシュを「水にひたして」、両鼻につっこんどく。水にひたさないと逆にティッシュに水分もっていかれるんだよね。短距離だとそれでやりすごせるけどさすがに長距離だと詰め物の世話に手間がかかって面倒なので、やっぱマスク。マスクだと口からの息がまわるのでちょうどよい保湿効果。ってそんな汎用性のないテクニック披露してもしょうがないけどさ。

役にたたん話ですいません。でも60Lのバックパック一個で長く孤独な旅を続けていると、こういう小さいアイテムの一つ一つにすごく愛着がわくんですってば!なんじゃそれ、なんて思った御仁は映画キャストアウェイをみてください。こちら↓。


2012年6月24日日曜日

To You

どうも日本は梅雨入りしたそうすね。
んなわけなのでこないだのオスロの爽やかな空気感をペちっと。




22時ぐらいまで日が差しているので、芝生の上で夜も何時間でもごろごろしていられるのが夏のオスロのすごいところ。

世界第3位の石油輸出国として、石油の富が全国民に行き渡るので、基本的にあまり働かないし、基本的にコミュニストだし、野心とかそういうのが全然ない。
こういった芝の上にも、17時や18時ぐらいから仕事がおわった輩からぞくぞくと繰り出して、夜中までごろごろしている。

石油以外の産業・文化があまり育たないという背景があるので、文化とかそういうのがもうまったくペラっペラの国なので、たまにすごくいらいらするし腹が立つ。
育ちがよくてオシャレでいいヤツだし金ももってるんだけど世間知らずで成金趣味でどっか芋くさくてトロい、そんな女と話してるかんじ(ひどいいいよう(笑))。
要はとてつもなく底が浅い(これまたひどいいいよう(笑))。

あ、あれ、爽やかさをお届けしようと思ってただけなのにいつのまにかただの悪口に、、、

2012年6月18日月曜日

レッツゴー、パブ

ダブリン。
久しぶりに旅っぽい記事で。

スタウトって、このピシっとした境目がぐっとくるよね。。

別に特にギネスが好きってわけでもないけど、工場で飲んだギネスはさすがに新鮮でキレキレで素晴らしくうまかったです。
アイルランドは、美味しいクラフトビールがいっぱいあって、国民がビールの味を理解していて、そういうところいい国だよね~。お酒に理解のある国はそれだけで素晴らしいよ。
外国でドラフトビールを飲むとたいてい、ちゃんと洗っていないサーバーの味がするもんだけど(なのでなるべくドラフトは飲まない)、ダブリンはどこのパブで飲んでもそんなことがなかった。
それに酒屋でもパブでも、アイルランドのビールだけでなく、UK、ベルギー、ドイツ、アメリカ、、などなどのちゃんとおいしいクラフトビールが豊富に揃っている。
バーマンも美味しいビールに誇りをもってテキパキ働いている感じで、とても気持ちいい。

ちなみにアイルランドはクラフトビールもスタウトが多いようです。
特に美味しかったのは、Carlow O'haras というブルワリーのスタウト、あと Porterhouse というブルワリーの、XXXXっていうスタウト

アイルランドは飯もうまい。
バリエーションはないし、ただただビールにあうパブ飯、つーかんじで、ジャンクだけど、素朴で。
これは毎週土曜に出るマーケットで食べた1ピースが巨大(1kgくらいあるかな?)な野菜のキッシュ。
 

ソーセージとかホントやばいです。


ポテトの上に、チーズ(フェタっぽいの)を載せてオーブンでやいたの。
これもマーケットで。


あっちゃこっちゃパブに行ってたなかで、一番素晴らしかったパブはちょっとはずれにあって地元民で大盛況のL. Mulliganというパブ。
テーブルは予約でいっぱい。
カウンターもいつもぎっしりみたいだけど、ちょっと待てばカウンターはそのうちあくと思うので諦めませぬよう。
これは豚バラをどうにかしてどうにかしたあと、山と盛ったマッシュポテトの上にのせて、グレイビーソースで。


ウィスキーの品揃えも充実。
メニューにのっているだけでもアイリッシュが30本くらい(東京にもこれだけアイリッシュが揃っているのはないんじゃないのかな?)、スコッチは、その倍はあったかと思う。スコッチは100本200本あるようなバー、東京にもいっぱいあるけど。
私が飲んだのは、Readbreastという銘柄のカスクストレングス。


そしてアイルランドは意外にチーズも美味い。
こういう熟成十分なくっさいウォッシュチーズが最近好きなんだよねー、あたし。
 

以上です。