2011年7月25日月曜日

悲しい週末

つい先日からオスロに来ている。
今回は、とあるプロジェクトを始めようと思って、その立ち上げ作業というつもりでやって来ているのだけど。(ちゃんと立ち上がったらあらためてお知らせします!)

それで金曜の午後に友達の家で昼ご飯を食べながらその話をうんだらかんだらやっていたら、外で「ボンッ」という音がして、窓が「バーンッ」となったので、何事だろうかフフフンと思っていたところ、電話がかかってきて、テロがあったというではないの。
しかもその爆破された政府関係のビルというのは、友達の勤務先の隣にあるのだ。
えらいこっちゃということで徒歩でほんの10分の現場まで見に行ってみたのだが当然辺りは立ち入り禁止になっているので近くまではいけなかった。
私がまさにいつも買い物したりビール飲んだりしている一角がはちゃめちゃなことになっている。
爆破当時そこにいなかったのは不幸中の幸いというぐらいいつもその辺にいる。

ノルウェー中が戦慄を覚えている中、そうこうしていると、新たなニュースが入ってくる。
近郊のちょっとした湖に浮かぶ小島で銃の乱射事件、しかもその島にいるほとんどの人間というのは、夏休みのティーン達。労働党の主催するサマーキャンプに参加中というのだ。まだ犯人は捕まっていないが、知り合いがその島にいても、電話をしてはいけない、隠れているところを見つかって射殺されるかも知れないから、なんておっそろしいニュース。

しかも別の友達が、姪っ子がまさにそのキャンプに参加中で、しかし彼女はボートでなんとか逃げた、とかいうの。
しかし泳いで逃げたティーン達もいて、泳いでいるところをさらに狙って射殺したりしていたとかいうじゃないか。
悲しいことに泳いで逃げた人でも、途中でおぼれてしまった人もいるらしい。
ノルウェーの湖は夏でも冷たいのだ。

通報があって、警察が到着するまでの90分の間、ティーン達を殺しまくった犯人。
夜のうちの報道では、20~30人の死体が発見されたといっていたが、一夜明けてニュースを見たら、犠牲者の数は結局90人を超えていた。これには全ノルウェー人が朝起きてびっくりしたことだろう。
当時島にいたのは700人のティーン達。その10%以上が殺されたのだ。


土曜のうちはさらにいろいろなことが明らかになって、いろいろなコトが報道されていたが、オスロ中の人々の脳みそがこの事件にとられて興奮している感じあった。
無理もないさ。たった480万の人口(オスロの人口じゃないですよ、ノルウェーの人口。私ですら、知り合いの知り合い、のレベルで事件に巻き込まれた人がいるくらいだからね。)しかいないこの穏やかで豊かで平和すぎるほどに平和な国で、いつもはもの静かに暮らしている人々なのだ。


そして日曜日。あちこちの教会で犠牲者を悼むミサがもたれ、いつもよりも余計に鐘がひびきわたる。街には花を携えたひとがたくさん。
昨日とはうってかわって、街中が沈鬱でいたたまれない空気に包まれている。
誰も大きな声で話したり、笑いあったりしない。
こんなに静かで穏やかで小さな国、シャイでひっそり暮らしている人々の国であんな悲しいことがおこるなんて未だに信じられない。


ミサ中のオスロ大聖堂の前で。多くの市民が訪れて花をたむけていた。


犯人のパーソナリティやその背景にはヨーロッパ中が注目しているだろう。こういうような歪んだキリスト教的超保守超排他主義の人々はヨーロッパのどこの国にもいるものだから。
しかも今回の犯人はご丁寧にも1500ページに及ぶマニフェストを記している。
そこには政治批判や彼の思想や理想はもちろん、事件の詳細な計画、事件当日までの日記まで書かれている。
(私手元にダウンロードしたのがあるので欲しい人いってね!)
この事件はきっと本や映画になるだろうね。
善悪なんてだれにも判断できないけれど、何十人もの若者を無差別に殺すのは絶対に悪だ。悲しい。

犠牲になったティーン達、街場の人たちの冥福と、家族の心の平安を祈っています。

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